仲良くなって戻ったわけではない。離婚を諦めたわけでもない。
ちゃんと旦那の行動を観察するために、実家を出て旦那のもとに戻った。
ちょうど、子どもの幼稚園のこともあったし。
わたしが“帰る”ことを告げると、旦那は心底うれしそうに“待ってる”と答えていた。
これから、じっくり観察されることなんて、これっぽちも考えていないのだろう。
帰ってからしばらくは、子どもの幼稚園選びに忙しかったこともあるけれど、旦那の方も、ようやく別居を解消して戻ってきてくれたという見え見えの態度で、早目に帰宅もしていた。
特に会話もないので、その日行った幼稚園の話しや、聞いた話しを適当に旦那にしてみる。
しかし、旦那は子どもの幼稚園のことなんて、全く興味がないという感じの気のない返事ばかり。
そのうち飽きてきたのか、まただんだんと帰宅時間が遅くなり始め、飲みにも行くようになった。
もう、責めたりケンカするのもばかばかしいし、そんな気力もない。
早くしっぽをつかみたい、という気持ちもどこかにあったんだと思う。
それでも、同期や友達と飲みに行く程度で、女の影は消えていた。
ちょっと残念。
秋を過ぎ、子どもの幼稚園の制服を作る頃、少しずつだけれど、旦那の態度がおかしくなってきた。
こんなチャンス、逃すわけにはいかない。
わたしは、旦那を自由に泳がせた。
と、言っても、急に態度を変えては、余計に怪しまれるので、飲んで帰りが遅くなり、連絡が取れないで夜中に帰ってきたときなんかは、起きて待っていたり、朝、適当に愚痴を言ったりして我ながらの名演技を続けていた。
旦那の浮気のサインは携帯ロック。
別居前に一度、旦那の携帯を見たとき、女からのメールが保存してあったのだ。
それを、ケンカしたときに責めてしまい、それ以来携帯はロックされてしまった。
けれど、別居中にそれを指摘したとき、怪しまれるようなことは何もしていない、とばかりに、携帯ロックをはずし、わざとわたしの近くに携帯を置いて寝ることもあった。
誰が、そんな見え見えの小細工された携帯を見るかっちゅうの。
わかりやす過ぎる態度に呆れながらも、わたしは探偵に依頼しようかどうか迷い始めていたのです。 |