今まで知りませんでした。
それほど都会だと思っていなかったのですが、意外に探偵会社ってあるものなんですね。
普段、気にしたことがなかったので、これほど多くの会社があることに気が付きませんでした。
それでも、会社によって、広告スペースも違うし、支店の数があきらかに違っていた。
探偵の調査内容だけでなく、探偵学校を併設している会社まであったのですから、驚きです。
結局わたしは、テレビでみたことのある有名人が載っている、それなりに大きそうな探偵会社を選んだのです。
有名人を起用しているって、なんとなくその人が推奨しているような気がするし、騙されたりすることもないだろう、という妙な安心感から。
最初の電話で失敗しているので、前以上に緊張してコールを鳴らす。
今度は、1回コールが鳴るか鳴らないかのタイミングで、コールが終わり、若い女性の声が携帯電話の向こうから聞こえてきた。
事務的な話し方に、少し不安になる。
調査についての基本的な金額を知りたいだけなのに、若いお姉さんの声は、
「こちらではわかり兼ねますので、担当者より連絡をさせていただきます。」
と、繰り返すばかり。
どんなところか、高いか安いかもわからないのに、携帯電話の番号を教えるのには、やはり抵抗を感じる。
しばらく粘ってみたけれど、電話口のお姉さんは、本当に金額については知らないようなので、わたしはあきらめて、自分の携帯電話の番号を教えることにしたのだった。
10分たたずに、折り返し電話がかかってきた。
その10分の間に、ほんの少し、気分が落ち着けた。
かけ直してくれたのは、電話口でもわたしよりかなり年上であることが分かる、年輩の女性だった。
まだ、確信的なことをちゃんと話したわけではないけれど、心配していることをアピールしているかのように心配そうな声でアドバイスしてくる。
一人で悩まないで、わたしに相談して、というようなアドバイスなのだけれど。
相談するだけなら良いけれど、その先に、たぶん高額であろう金額がかかわってくる、と思うと、やはり会って話すのが怖いような気持ちにもなってしまった。 |